クロエの詩集
索引
「美」 「薔薇園のかて」 「天国」 「あの人」 「お祈り」 「天に贈る薔薇」
「教会に薔薇を植えましょう」 「ロザリオ」 「シュガーシュガーシスター」 「ステップ」 「I can be , I can do」
「神様をにくむ時」 「自画像―ポートレイト」 「信じてる」 「幸福」 「醤油と子供」 「天国Ⅱ」
「美」
真の美は醜のなかでしか見当たらない
美の中で美を探そうとするとめくらになる
私は醜の中にいて
美を探すもの
美に焦がれるもの
真の美とは神なり
「薔薇園のかて」
失望しても
泣いても
その涙
その血が
何かのかてになる日が来ると思えば
もう一度
顔をあげられる
その時は
私はもう泣いていないし
血も流れていない
輝いてる
だからもう一度
立ちあがれる
私の涙と
私の血が
神様あなたの薔薇園の
かてになります様に
「天国」
どこにも天国なんて無いことを知ってる
あるとすれば
私の心の中
天国はそこにあり
神様はそこにおられます
そして私に語り掛ける
自分を愛しなさい
自分と同じように
隣人を愛しなさい
忍耐を持って
痛むほどに
その分私はあなたに報いよう
その分あなたに報いようと
神様
私の内に
天国があるとすれば
お空など仰いでも
何も降ってはきませんね
「あの人」
薬を飲んでゆらゆらした世界から
私はあなたを見ていた
ボーっと霞がかかって
私のほうを向いて何か言っていた
霧のかかった意識の中で
私は誰に言うともなく言っていた
私は満足です
私は満足です
このまま命を失おうと
そして知らないうちに友人に抱かれ
救急車の音を聞いていた
救急車の中で
あの人を呼んでと叫んだのを覚えている
あなたは入ってきてまた静かに出ていった
私の本当のお父さん
掻き抱くわけではない
ただ受けとめるその姿は
究極のピエタ像
「お祈り」
この世界のどこかに
こんなちっぽけな私のためにお祈りをしてくれている人が
いるのでしょう
そのおかげか
私は死なずに生きていることができています
じゃあ
その誰かのために
私はお祈りをしましょう
主の平安
主の平安が今日一日どこにあっても
何時もあなたとともにありますように
私がお祈りしていることで
この世界のどこかで
誰かが死なずに生きていることができているのでしょうか
こんなにちっぽけで
つまらない私のお祈りを
神様は毎日
聴いてくれているのでしょうか
たぶんそうでしょう
「天に贈る薔薇」
私は
ただのつまらない人間だけど
地の底をはいずりまわっている苦しんでいるけれど
真紅の血にまみれた膝を折り
泥にまみれた手に握ったロザリオで
天に向けて賛美を贈りましょう
時には喜び
時には悲しみにむせびつつ
時には怒りに震えながら
天から降る薔薇があるなら
地上から天に贈る
薔薇があってもいいはず
大切な大切な贈り物
そうら 父様のところに向かっていってらっしゃい
「教会に薔薇を植えましょう」
教会に薔薇を植えましょう
苗木を一株ずつ
毎年一株植えるのです
毎日ロザリオを祈るように植えるのです
その株の咲かせた薔薇の花は
神の賛美
神の栄光
どうぞ…私に苗木を手に入れる力を下さい
シャベルを振るう力を下さい
いつも庭園をきずかう力を下さい
教会に薔薇を植えましょう
美しく花が咲き乱れますように
毎年 聖母月には
マリア様をなぐさめますように
「ロザリオ」
ロザリオの木の感触を楽しみながら
私は祈る
大切な人のため
自分のため
そして知らない誰かのため
薔薇をつむげ
薔薇をつむげ
マリア様に
薔薇をつむげ
薔薇をつむげ
天国に向かって
ロザリオの木の感触を感じながら
私は話す
マリア様と
イエス様と
神様に
薔薇をつむげ
薔薇をつむげ
この世界に
薔薇をつむげ
薔薇をつむげ
天国に向かって
神様に捧げる薔薇
「シュガーシュガーシスター」
シスターに会った時
やだ、虫歯になっちゃうと思った
とても甘い
シュガーシュガーシスター
昔
甘いものはいけません
虫歯になるからよ
人の真実を知った時
シュガーシュガーシスター大好きだと思った
さあ、クッキーですよ
はい、果物ですよ
お茶ですよ 好きなだけ召し上がれ
虫歯になんてならない
シュガーシュガーシスター
私 大好きだ
涙が出る
「ステップ」
ワン ステップ
ツー ステップ
スリー ステップ
クイック ターン
心の中で 手を叩きながら
誰かが声で半ばおどけて
合いのてを打っている
そう
私は
スリーステップの人
認め
信じ
お任せする
それを繰り返し練習している
ワン ステップ
ワン ステップ
ワン ステップ
ワン ステップ…
そればかり続くと
心が消耗していく
だらだらと
そう
そんなこともある
それを許せない時もある
認め
認め
認め
耐え忍ぶ
けれども認められないときもある
涙…
「I can be , I can do」
I can be,I can do
I can be…
I can be…
探し求め 探し求め
見つけた I can be
I can be
私は 私であっていい
あなたは あなたであっていい
I can do…
I can do…
探し求め 探し求め
見つけた I can do
I can do
私は私のできることを成せばよい
それが私だ
あなたは あなたのできることを成せばよい
それがあなただ
私はそれによって創られる
I can be そして I can do
You can be そして You can do
「神様をにくむ時」
どうして私は
あんなに幼く こわれやすい時から
汚されつづけたのかと思うと
私は 神様 あなたをにくみます
私を汚した人達は
それさえ忘れている
そんなことを思う時 私はあなたをにくんでいます
でも
私は死ななかった
こうして あなたをにくんでいるという私が在る時
私は 同時にあなたの愛をこれ程までに渇望している私を見ている
驚くことに
あなたをにくんだことで
あなたの存在をつくりだしている自分に気が付いた
神に栄光！
「自画像―ポートレイト」
神様
私に自画像を描く勇気を与えてください
私は 自分の全てを見るのがこわい
木炭で
黙々とデッサンする私
描いても描いても
うつろっていく姿…姿…
私は一体何を描いているのか
練り消しでパンで線を消し
新しい線を描き加える
それが明るくなった目の光だったり
顔のどこかに刻まれたしわだったり
それもまたうつろっていく
空しい…―なにかに気をとられ死んでいる
私は 今の姿だけを見たい
自分が笑うその一瞬
自分が泣くその一瞬
次々に移りゆくその一瞬だけ
それを積み重ねていきたい―それが生きること
そうやって命を終えるとき
私が感じる集大成が
自画像なのかもしれない
「信じてる」
自分を信じようと思う
悲しい過去も
それと相反する素敵な過去も
どちらも持つ自分
何時も心の深遠からきこえる小さな声
それが自分
たくさんの過去にうずもれて
息もできないくらい押しつぶされてる
そんな中で
かすかにあげている叫び声に
耳を傾けてあげよう
あなたは私のインスピレーション
あなたは私の魂
死なないで 生きていて
離れないで 側にいて
あなたは私にとって大切な人よ
信じている
あなたはきっと…
嘘はつかない
今でもずっと…
そうだった
「幸福」
汗水たらして
筋肉を使って
思いっきり働く
ご飯が美味しくて
お水が美味しくて
とても幸せだ
埃まみれで
もろみを頭からかぶって
一生懸命働く
夜も眠れて
怖い夢も見ずに
とても幸せだ
皆はどうかわからないけれど
人は
どうしてそんなことが幸せかと
聞くかもしれないけれど
これほど幸せなことって無いんじゃないの
「醤油と子供」
子供は
ゆっくりゆっくり
時間と手間をかけて育てます
そして
ゆっくり
手を離してやるんです
そしたら幸せな子になるでしょう
醤油も
最初に思いきり
手をかけます
麹とまぜてやり
温度を調べてやり
むしろからおろしてやり
塩水とまぜ
そして
ゆっくり
ねかせてやるのです
そしたら おいしい
お醤油になるのです
「天国 Ⅱ」
時々
生きていて本当によかったとおもいます
涙と血を流した嵐のような日々
その毎日から今をふりかえると
何という天国でしょう
どうか続け
私の天国
時々
生きていて本当によかったと思える日が来ました
自棄になって死を求めつづけた日々
その中でも光を求めてもがいていた
一すじの光を…
もがきつづけてよかったと
本当によかったと思います
一すじの光でも
それが私の天国